2002年
5月29日〜6月5日

聖都ペテルブルク白夜祭と
モスクワ音楽の旅


ボリショイ劇場

19世紀末はオペラの時代だったが、21世紀はバレエの時代になるだろう」

フランスの振付家、ローラン・プティ


ボリショイ劇場外観

バレエの開演時間19:00は
まだまだ明るい

ボリショイ劇場正面
四頭立ての馬車を御すアポロン像

1999年の冬の劇場はこんなに暗い


ボリショイ劇場内部
ヴィリエタス席のシャンデリア 天井のシャンデリア 劇場内部の座席

バレエ「アニュータ」

作曲:ヴァレリー・ガヴリーリン 主演:スヴェトラーナ・ルニキナ  

   
喝采を受けるアニュータ役
スヴェトラーナ・ルニキナ
モデスト役(グリーンの洋服)の
Gennadiy YANIN
のバレエも見事

バレーの魅力

豪華な晩餐会の余興として、舞踊のスペクタクルが考え出された。
この「小舞踏会」を意味するバレットというイタリア語が、バレエの語源。
20世紀初頭、ディアギレフ率いる巡業カンパニー、ロシア・バレエ団が
パリ公演を行ったときのセンセーションは大変なものだった。
常に新しい切り口を求めて演出と振付が繰り返される、それがバレエの特質である。


ボリショイ劇場 バレエ、「アニュータ」

5月30日(木)19:00開演 
アニュータは1986年、ボリショイ劇場にて初演
原作:チェーホフ
作曲:ヴァレリー・ガヴリーリン
脚本:アレキサンダー・ベリンスキー&ウラミジール・ヴァシリエフ
出演:モスクワ・ボリショイバレエ
Artistic Director of the Bolshoi Ballet::Boris AKIMOV
音楽・指揮:Alexander VEDERNIKOV


チェーホフの原作の題名は言葉遊びとなっており、「首にかけたアンナ(勲章)」という意味もある(主役のアニュータはアンナの愛称。その夫が夢にまでみて欲しがるのがアンナ勲章)。劇場版は1986年1月21日、ナポリのサンカルロ劇場で初演。

母に死なれ、教員の父はさびしさから酒におぼれ、二人の弟はまだ小さく、そうした三人の貧しい暮らしが死ぬほど退屈年頃のアニュータは、ある日魅力的な大学生と知り合い、恋心も芽生えるが、相手も貧乏なので結婚を諦める。まさにその頃、年輩だがそこそこの地位にある小役人、モデスト・アレクセーヴィチに結婚を申し込まれる。お金もあるだろうから新しい生活のほうがマシだろうと承諾するが、実は夫はけちで現実的で少しも面白くない人物だった。もとの生活のがよかったと思ってももう遅い。

そうしたある日、貴族の舞踏会にでかけると、アニュータは地方上流社会で一躍人気者になり、多くの男たちにちやほやされる。なかでも士官アルトゥイノフ閣下はアニュータに首っ丈。モデスト・アレクセーヴィチは、アニュータの魅力を利用すれば自分にも得になると、妻の浮気を認める。アニュータは有頂天になり、なにもかも忘れて遊びを楽しむ。他方、父は破産し、家財をすべて没収され、息子二人を連れて、雪の中、路頭に迷う。
序曲が終わって幕があくと、
正教にのっとってとりおこなわれる母の葬儀の場面。暗く、重い。つづく残された4人は家に戻り、しみじみと悲哀を味わう。
第三場
は町の並木道でがらりと舞台の雰囲気が変わり、色あざやかな衣装を着た様々な階層の人が行き交う。19世紀末のロシアの街角をそのままもってきたかのよう。

第四場は主役の一人、アニュータの夫となるモデスト・アレクセーヴィチが勤める役所の場面
第五場
アコーディオンが過去をふりかえる調べを奏で、ピョートル・ペトローヴィチは過ぎ去った若き日を懐かしむ。それに続くアニュータと貧乏学生のデュエットはこの幕の見せ場
第六場喧噪の中、アニュータたちの結婚式がどさくさまぎれに行われる。

第七場は二人の寝室。つまらない夫と結婚したアニュータの後悔 とモデストのけちさ加減のコントラスト。

第二幕は貴族の舞踏会ではじまる。着飾った長身の美男美女が大きな動きでワルツを踊る。こういう場面はさすがボリショイ。文句なく素敵。道化的役回りのモデストの動きは芸が細かく、それが舞台のはじであっても注目してしまう。

表面的な話の単純さの裏にあるチェーホフの得意とする、地方都市の小市民の小さな欲望が破滅につながっていく複雑な筋がみているだけで浮かび上がってきていた。ロシア革命の精神的前史としてもよく描かれたいいバレエ。

アニュータ役

スヴェトラーナ・アレクサンドロヴナ・ルニキナ Svetlana Aleksandrovna LUN'KINA

1979年7月29日モスクワ生まれ
1997年、モスクワ舞踊学校卒業(マリヤ・レオーノヴァのクラス)
1997年にボリショイ劇場入団、マクシーモヴァの指導を受ける
1997年ヴァシーリエフ版ジゼルの初演に抜擢される


ボリショイ劇場公式サイト


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