エジプト理解 一口メモ |
「神々との対話」 古代エジプト人は繰り返される自然の営みに神を感じた。 沈んだ太陽が決まって東の空に昇るように、大河ナイルによる毎年の氾濫は大地を豊かにして生命を育んだ。 人々はこうした大自然のサイクルに自らの生と死を連想し、神々の存在を見出した。 信仰の中にエジプト文明の根源があった。 人は亡くなると、永遠の生命を得て、来世において再生復活すると信じていた。 「来世への旅」 古代エジプト人には神秘的な葬礼儀式があった。それは人々を現世から来世へと導くための大切な儀式であり準備は生前から進められ特に使者の永遠の家となる墓は丹念につくられた。 魂は死後ミイラとなった体から離れ、新たな世界へと旅立った。 「冥界への道」 エジプト人は死後の世界にも、生きている間と同じような生活があり、生命は冥界という第二の世界で存在しつづけると考えていた。しかし冥界に到達できなければ生命は完全に消滅してしまう。 それでは古代エジプト人はどうやって第二の世界、来世へいこうとしたのだろうか。それは使者が来世で無事に再生できるように、さまざまな呪文や絵が描かれている「死者の書」の中にみることができる。 人間が死ぬと、その魂は墓から出てさまよい、長い旅をへて、やがてオシリスの法廷にたどりつく。ここでまず死者はアヌビス神に迎えられ、正義の広間の中央に導かれる。 ここでまず死者は生前に罪を犯していないことを神々の法廷で述べる。 この告白が承認されると、次に死者の心臓は天秤にかけられ、正義と真理の象徴であるマアト女神の羽根と釣り合うかどうか調べられるのである。そして死者の罪が真理の羽根よりも重ければ、死者は糾弾され、その心臓はワニの頭とカバの胴体を持つ恐ろしい怪物・アメミトに食べられ、本当の死(再死)を迎えてしまう。一方、死者の告白が真実であれば天秤は釣り合い、死者は選ばれた者としてホルス神に先導され、オシリス神の前に出る。そして「声正しき者」と宣言され、晴れて天国への罪が開かれるのであった。 「楽園への復活」 冥界の神オシリスに、真実の告白を認められた死者が復活する楽園とは、どんな場所だったのだろう。「死者の書」の第110章には、この楽園がしばしば登場し、その様子は新王国時代の墓の側面にも描かれた。そこには、古代エジプト人が理想とした生活を見ることができる。 古代エジプト人はこの楽園を「イアル野(セケト・イアル)」あるいは「供物の野(セケト・ヘテブ)」と呼んだ。 「イアル野」は華が茂る湿原で運河が流れる田園、または水の上に浮かぶ島だと信じられていた。水が豊かなこの地は、樹木は草花が生い茂り、豊穣を約束された地と考えられていたのである。死者の書の挿絵には、止まり木に止まるペヌウ鳥(不死鳥)がよく描かれており、死者はこと鳥に礼拝することで、不滅の命と豊穣を願ったのであった。 似たような光景が、今もナイル両岸の緑地帯で見ることができる。 人々は、不毛な砂漠に生きることの厳しさを理解しているからこそ、こうした豊 実は古代エジプト人の認識もかなりあいまいだった。そのイメージは東方、テルタ、天空の近く、地下の冥界、西方砂漠の向こう側など、時代によって変わったようである。 「古代エジプトの聡明なる女性たち」 「クレオパトラの鼻があと1センチ低かったら歴史は変わっていただろう」という 名言が示すとおり、女性が歴史において重要な役割を果たしてきたことは言うま また大胆な宗教改革を行ったアクエンアテン王の妃ネフェルティティは改名して自らの信仰心を示すなど、新宗教の推進に大きな影響力を与えた。 そして古代エジプト最後の女王クレオパトラは、シーザーやアントニウスといっ 彼女たちの要望については推量の域を出ないが、彫像やレリーフに残された面影は魅惑的である。クレオパトラが牛乳風呂で肌を育み、バラを大変好みいつもかぐわしい芳香に包まれていたというのはよく知られているが、彼女が何ヶ国語もの言葉を流暢に操り、巧みな話術を駆使したように、高度な演出や能力が彼女たちを絶世の美女として語り継がせている所以なのかもしれない。 |