ナブッコ
Nabucco

ヴェルディ
Giuseppe Verdi

「行け、我が思いよ、黄金の翼に乗って」はイタリア第二国家

言語イタリア語 舞台エルサレム〜バビロン

登場人物

ナブコドノゾール王 Br

バビロニア(アッシリア=後のペルシャ)の王、史実上のネブカドネザル2世
歌劇中ではナブッコと呼ばれる。

イズマエーレ T

エルサレム(ユダヤ)王ゼデキヤの甥。

ザッカリーア B

ヘブライ人(ユダヤ)の大祭司。

アビガイッレ S

恐らくナブッコと女奴隷の間に生まれた子。
ナブッコは王女中の長女として育てている。

フェネーナ S

ナブッコとその正妻(の一人)との間に生まれた子。
アビガイッレからみると妹分とされている。イズマエーレとは恋仲。

 

名作オペラへのいざない

名セリフ

第一部
かく 主はおっしゃられた 
"見よ、わたしはこの町を与えるだろう 
バビロンの王の手に 
町は炎で焼かれるだろう" 
エレミヤ書 32章
祭祀の飾りなど砕けて
落ちよ ユダヤの民よ喪服を着るのだ
侮られた神は怒り その使者としてアッシリアの王が襲いかかって来る
愚かな偶像に囲まれたアッシリアの侵略者から
ダヴィデの王座をお守り下さい

第三部
預言;砂漠の獣たちはバビロニアにその住みかを得るであろう フクロウと共に
そしてヤツガシラもそこに住むのだ(エレミヤ書51章)

♪行け、我が想いよ黄金の翼に乗って♪
ああ かくも美しい 失われし祖国よ
運命の予言者が持つ黄金の竪琴よ
なぜ 柳の枝にかかったまま 沈黙を守っているのだ?
胸の中から 思い出を引き出し
過ぎし日のことを語っておくれ
エルサレムの宿命に似つかわしい
身を削るような うめき声を引き出すのだ
それとも 主がお前に 快い響きをお与えになり
この苦痛を喜びに変えるような 調べを聴かせておくれ

夜が更ければフクロウが 悲しい鳴き声を上げるだろう

傲慢なバビロニアが どこにあったか
どの石も旅人に告げはしない
奮い立つのだ ユダヤの民よ!

第四部
イスラエルの民よ 祖国に帰り 楽しい日々を送るがよい
汝らの神に 新しい神殿を建てよ
その神のみが 偉大で強力なのだ!

【フェネーナ】
天界が開けてきました
私の魂は主を待ち焦がれています。
主は 私に微笑みかけ
 永遠の喜びをお与えくださいました。
私を照らしてくれた星たちよさようなら
今や私の魂は天へと飛んで行こうとしています!

【一口メモ】
*第二の国歌:ミラノ・スカラ座でこのオペラが初演された1842年当時、イタリアはオーストリアに支配されていた。
ミラノ・スカラ座の聴衆はこの歌詞、「Oh, mia patria si bella e perduta!」(おお、あんなにも美しく、そして失われた我が故郷!)の部分に自らの運命を重ね合わせた。→1861年、イタリア王国成立

*ミラノ・スカラ座再建:スカラ座は1843年の空襲で破壊された。
1946年5月11日、スカラ座の再会記念コンサートで「行け、我が想いよ・・・」のタクトを振った人こそがトスカニーニ。

*バビロンの捕囚:旧約聖書記載の史実。
紀元前1000年頃、12部族からなるイスラエル人が治める古代イスラエル王国はダビデ王〜ソロモン王の下で繁栄を極めていた。
当時、中東の列強国として成長していた新バビロニア王国は紀元前597年より586年にかけて、この古代イスラエル王国に攻め入り、多くのイスラエル人を捕虜・奴隷として首都バビロンに強制連行した。
(バヘルの塔」バベルとはバビロンのこと。混乱(バラル)が語源)

*オペラ「ナブッコ」とバビロンの捕囚:新バビロニア王ナブッコがエルサレムに振興して、王宮やソロモン神殿を破壊し、人々を首都バビロンへと強制連行するところまでが史実に基づいているが、ナブッコ王の二人の娘や王の改心とユダヤ教への帰依、更にイスラエル人の帰還の許しなどはオペラを面白くするための脚色であり、史実とは異なる。


全曲日本語字幕

アリアリンク集

第1部
(エルサレム)
祭祀の飾りよ、落ちて砕け散れ
Gli arredi festivi
ヘブライの民合唱  
エジプトの海辺で 神はモーゼの命を救われた
エジプトの海辺で
D'Egitto la' sui lidi
ザッカリーア    
勇敢な戦士!愛だけが あなた知っている武器なのですか?
 Prode guerrier! d'amore
アヴィガイッレ、フェネーナ、イズマエーレ    
第2部(邪悪)
第1場
ナブッコ王が王位をフェネーナに譲ろうとしていることに激しく嫉妬
私が見つけた運命の書よ
Anch'io dischiuso un giorno
アビガイッレ
その時が近づいている 致命的な怒りの時が
S'appressan gl'istanti 
ナブッコ  
第3部
(預言)
第4場
ああ、許してくれ、ああ、許してくれ 
この狂える父親を!Deh perdona, deh perdona
ナブッコ
ユーフラテス河畔、ヘブライ人たちが鎖に繋がれて強制的に働かされている
行けわが想いよ、黄金の翼に乗って
Va, Pensiero, sull'ali dorate
合唱  
おお 誰だ泣いておるのは?臆病な女のように
Oh chi piange? di femmine imbelli 
ザッカリーア  
第4部
(壊れた偶像)
さあ殉教の印のシュロの枝を手に
Va': la palma del martirio,
フェネーナ    
ヘブライの神よお許し下さい。ユダの神よ なたを永遠に讃えます。
Dio di Giuda!...l'ara, il tempio
ナブッコ