ナブッコ
Nabucco


 

ナブッコ(原題「ナブコドノゾール」Nabucodonosor)はジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラです。1842年にミラノ・スカラ座で初演されました。この時、ヴェルディは28歳。

ヴェルディにとって3作目のオペラですが、初めて大成功を得た出世作として知られ、特にその第3幕での合唱「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」は今日のイタリアにおいて国歌並みに有名な旋律となりました。ナブッコとは、日本では普通ネブカドネザルとして知られるバビロニアの王の名前です。

「ナブッコ」の成功はヴェルディの名声を広げただけにはとどまりませんでした。後日、ヴェルディは「ナブッコ」の初演時にヒロインのアビガイッレ役を歌ったジュゼッピーナと再婚し、ジュゼッピーナが亡くなる1897年までの長ーいおつきあいとなりました。これも「ナブッコ」成功のおかげでしょうか。

ところで歌劇「ナブッコ」の原作は一応、旧約聖書のエレミア書や列王紀下、ダニエル書、エズラ書ということになっていますが、聖書の中にはナブッコ(ネブカドネザル)の記述はほんのちょっとしかありません。


登場人物

新バビロニア側

アビガイッレ(奴隷との子・姉)(ソプラノ)
ナブッコ(新バビロニア王)(バリトン)
フェネーナ(ナブッコの正妻との子・妹)(ソプラノ)
イズマエーレとは恋仲

ベル神の大司教…アビガイッレの復讐心に火をつける。


ユダヤ側
イズマエーレ…ユダヤ王=ゼデキヤの甥。かつてフェネーナに恩義をうけた。(テノール)


第3部【予言】
バビロンの王宮で王座に座ったアビガイッレを人々が讃えている。ベル神の大司教が捕らえたユダヤ人を皆殺しにするよう言っているところへ精神錯乱状態のナブッコ王がやってきた。
アビガイッレナブッコ王にユダヤ人を皆殺しにするよう要求し承諾印を押させた。しかし、その承諾はユダヤ人の宗教に改宗した娘のフェネーナを処刑することを同時に意味することを知ったナブッコ王は娘のアビガイッレに跪き慈悲を乞う。
アビガイッレナブッコ王の言葉には聞く耳をもたず、自分が奴隷から生まれた子であるという証拠文書を破り捨てた。
一方、ユーフラテス川の川辺では強制労働をさせられているユダヤ人たちが望郷の念を歌っている。

(行け、我が想いよ、金色の翼に乗って)

我が想いよ、金色の翼に乗って行け
飛んで行って故郷の地のそよ風が暖かく柔らかく匂う斜面や丘に憩え
ヨルダン川の岸辺やシオンの倒された塔に挨拶してくれ
ああ、失われたこんなに美しい我が祖国よ
ああ、こんなにいとしく こんなに悲しい思い出よ
預言者たちの金の竪琴よ
どうして柳に掛けられたまま黙しているのか
胸の思い出を再び燃やし、去った日を我らに語れ
エルサレムの運命に似た深い嘆きの音を奏でよ
さもなくば苦しみに耐える力を我らに与える美しい響きを
主がお示しにならんことを


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