第一章 神話と伝説

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アフロディアとヴィーナス

女性の美と愛の象徴。航海の守り神。キリスト教ではニコラウスが代役。宇宙の初めは暗闇。上は父なる天空ウラノス、下は母なる大地ガイヤが支配。二人の末息子クロノスは父ウラノスの男根を切り取り海へ投げる。男根は海に漂い溢れ出た精液は泡(アフロ)と混じり美しい女子が誕生。貝の舟に乗って、キプロス島に流れ着く。アフロディアは女性美とセックスは豊穣のシンボル。ローマ神話の女神ウェヌス(英語読みはヴィーナス)。 

クロノスに飲み込まれた子

天下を取ったクロノスは、自分も息子に支配権を奪われることを恐れた。クロノスに飲み込まれた子供とはヘラ、ポセイドン、ゼウス・・・など。クロノスの腹から出て日の目を見た子供たちは10年間の戦いの結果、子供たちが勝利。くじ引きの結果、長子プルートンは冥界を、次子ポセイドンは海を、末子ゼウスは天と地の支配者となる。

海神ポセイドン

ローマ神話のネプチューン。エーゲ海の宮殿から海馬のひく馬車に乗って出現。三叉の鉾がポセイドンのトレードマーク。前半身が馬、後半身がイルカの海馬に乗るポセイドン像の噴水。ポセイドンとアンフィトリオンの間に生まれた息子がトリトーネ)トリトーネは下半身が魚(または蛇)でホラ貝を手にしている。

天空の神ゼウス=ジュピターと子供たち

@空遠矢射るアポロン
竪琴、弓矢、月桂樹の枝を手にしている。太陽、音楽、詩、青春と苦悩の象徴。エロースはアフロディアの子。ローマ神話ではクピードー(英語でキューピッド)。エロースから金の矢を打ち込まれたアポロンはダフネに恋焦がれる。鉛の矢を射込まれたダフネはアポロンを拒絶。死んでも乙女のままで!と、月桂樹(ギリシャ語でダフネ、英語でローレル)と化す。アポロンは「ああ、何という姿になってしまったんだ。愛らしいダフネよ。これからは競技の優勝者の頭をお前の美しい枝で飾って栄誉を表わすことにしよう」(デルフィーで4年ごとに大競技大会が開催され優勝者には月桂冠が授けられた)

A女神アルテミス
ローマ神話のディアーナ。 額の上の三日月の印がトレードマーク。 アルテミスのお供のニンフたちとはもともと泉の精。アグリッパが引いたローマ水道も「乙女の水道」と呼ばれた。

B知恵と武芸の女神アテナ
ローマ神話のミネルヴァ。アテナの盾にはメドゥーサの首がついている。ダナエとゼウスとの間に生まれた子ペルセウスがメドゥーサの首を斬り取った。斬り取られた首は、なおも見る者を一瞬のうちに石と化す力を失わなかったため、アテナに奉納した。

C道と旅と商業の神ヘルメス 
ローマ神話のメルクリウス(英語ではマーキュリー)。ギリシャ各地にあったヘルマという石の道標が起源。ヘルメスはゼウスが巨人アトラスの娘マイラのに産ませた子。巨人アトラスはアトラス山脈の語源。アトラスのかなたの海という意味からアトランティック・オーシャン=大西洋の名が生まれた。 ヘルメスはその杖に「知恵とすばしっこさ」の象徴である蛇を巻きつかせトレードマークとした。商業の神様で、商業高校の校章

D筋肉モリモリ、ヘラクレス
節くれだった太い棍棒と頭付きのライオンの毛皮がトレードマーク。 仏教と共に日本まで伝わった(金剛神や四天王)唯一の西洋の神様。

ヘラクレスへのアポロンの神託=12の功業
「父の故郷ティリンスへ行き、領主エウリステウスに12年間仕えて、彼が命じる12の功業を成し遂げよ。さらば汝の妻子殺しの罪は浄められ、不死の身となって、神の一柱に加えられるであろう」  第1の功業=ヘラクレスが退治したライオンは天に上げられ獅子座となった。 第9の功業=小アジアから黒海にかけて住んでいたアマゾン族の女王との戦い。 インカ帝国を征服したスペイン人が、アンデスを越えて東側の平原まで下りていったとき、原住民は女までもが弓を取って勇敢に抗戦した。これこそ伝説のアマゾン族そっくりだというわけで、そこを流れる大河をアマゾン川と名付けた。

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